LOOSE GAME 03-5


ほんの一瞬だけの。
全てを忘れられる場所。
あたしが、本当の、何も考えなくても本当の自分でいられる場所。

闘わなきゃだとか。
負けれないとか。
誰かを傷つけたとか。
誰かに傷つけられたとか。

あたしは娘。なんだとか。

そんなこと、全部とっぱらって。
一番まっさらな自分でいられる場所が、彼らのライブだった。

あたしは、初めて泣きながら彼らのライブを見た。
でも、あたし自身は、自分が泣いてるって気づかなかった。
普通に、いつもと同じように、叫んで、拳を上げて、飛び跳ねてるつもりだった。
だけど、まるで汗が流れるみたいに、あたしの目からは涙がこぼれてたみたいで。

何となく、分かってたのかもしれない。

姫野ちゃんの最後の願いを振り切って、あたしが彼らのライブを選んだことが。
最後の、決定になること。

あたしは取り返しのつかない道を選んだんだってこと。

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会場の明かりがついて、しつこくMODSコールをしていた人たちも諦めて帰り支度を始めるころ、あたしはやっと我に帰った。
もみくちゃにされ、汗にずぶ濡れになって顔に張り付いた髪。
べたべたと体に張り付くTシャツがキモチワルイ。

でも、心地よい疲労感。

頭が痛いのは、叫び過ぎたことと。
きっと、まだあたしの頬を濡らす涙のせい。

あたしは誰もいなくなった。
さっきまであんなに輝いていた、彼らのいたステージを一瞥して、踵をかえしてライブハウスを後にした。

ホテルに帰らなきゃ。

何が待ち受けているだろう。
お説教?それとも姫野ちゃんの涙?
どっちにしろ、もうこれであたしには味方は本当にいなくなった。
これからどうなるんだろう。
多分、あたしの気づかないところで、姫野ちゃんが防波堤になってあたしのこと守ってくれてたのは、あたしにだって分かる。
それがなくなって、これ以上どんな波があたしを襲うんだろう。

怖い?

うん、怖いのかもしれない。
でも、ほんの少し、あたしの中でも覚悟はできていた。

全てを、失うっていう覚悟。

ライブハウスの重いドアを抜けて、地上に上がる。

そこであたしを待っていたのは。
姫野ちゃんでも、事務所のマネージャー連やバイト君たちでもなくて。

木崎さんだった。

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「ちょっと、久しぶりだね」

木崎さんは照れくさそうにそう言った。
仕事以外なら、今まで何を置いてでも駆けつけていた。
あたしの憧れの彼らの居場所を教える、木崎さんからのスパイメール。
それを無視するようになってから、1ヶ月近くたっていた。

「えへへ、ちょっと仕事いそがしかったり」

あたしはつい、笑ってしまう。
木崎さんに心配をかけたくなかった。

「明日、こっちでコンサなんだよね」
「うん、すっげー偶然で。ずっと博多でのライブ見たかったから。やっぱ地元はノリが違うよぉ。すっげーよかったぁ」

「今から打ち上げ、来ない?」

何だか変な気分になる。
何で、わざわざあたしのこと待ち伏せしてまでそんなこと言うんだろう。
今までみたいにメールで送ってくれればいいのに。

「ホテル、抜け出してきちゃったし、今日は帰らないと。えへへ。今から怒られなきゃなんないんだ」

木崎さんはあたしから目をそらして。
歯がゆそうに唇を噛んだ。

「あのね。言うなって言われたんだけど」

急に木崎さんが早口に言った。

「森山さんが、よっすぃーのこと連れて来いって。よっすぃー、ライブ始まってから終わるまでずっと泣いてたって。ステージの上から見えたんだって。心配してた。あのね、あの人たちみんなすごく真面目なんだよ。いつも酔っ払ってるし、よっすぃーのこともオモチャみたいにからかってばかりかもしれないけど。でも、本当は、どんな些細なことでもちゃんと見てて、覚えてくれてるんだ。あの人たち、よっすぃーのことも娘。のことも何にも知らないけど、でも、今日のよっすぃーは普通じゃなかったからって、話ぐらいは聞いてやれるからって。多分、よっすぃーが思ってるより、ずっとよっすぃーのこと気にかけてるんだよ。そういう人たちなんだよ」

何でなんだろう。
木崎さんが泣きそうだった。

そして、あたしも泣きそうだった。

あたしなんて、彼らの後をついて回るうるさい金魚のフンみたいなもんで。
あたしの勝手な思い込みで、彼らにパワーを貰い、彼らを崇拝しているだけで。
彼らがあたしのことなんて気にかけてくれてるなんて、思ったこともなかった。

「それに……。それに、私だって。私だってよっすぃーのファンなんだもん。上辺かも、嘘かもしれないけど、最近のよっすぃーの、その、あんまり恵まれてないカンジの状況とか、いろいろ知ってるし、しんどそうなよっすぃーも見てるから。すごい心配で。私には何の力もないけど、あの人なら、よっすぃーのこと、元気づけられるのかもって。ちょっとでもよっすぃーが元気になってくれればって―――」

木崎さんはそこで声を詰まらせた。

あたしは、ブラウン管の向こうで見てくれている人にも心配を賭けてしまうほど、今の追い詰められた状況を顔に出してしまってたんだろうか。

あたしは俯いて唇を噛む木崎さんの両手をぎゅっと握り締めた。

「あたし、会えないんです。会ったら、甘えちゃいそうで。あたし、今、闘ってるんです。変だけど、あたし自身を取り戻したくって。本当の自分を、見て欲しくって。それがファンの人たちに心配をかけてるとしたら、まったく意味ないのかもしれないけど。でも、自分の知らない誰かの手の中で踊っていたくないんです。だから―――」

そこまで言ったところで、あたし達が話していた歩道のそばに、一台のタクシーが止まった。
ドアが開いて。
中から出てきたのは、ホテルのフロントで警備に当たってた事務所のバイト君二人組みで。
あたしを連れ戻そうと、真っ直ぐにあたしの方に向かって走ってきた。

まだ、言いたいこと、全部木崎さんに言ってない。
ちゃんと思いを伝えたい。

ずっと俯いてた木崎さんが顔を上げて。
あたしと目が合って。

木崎さんは、全てを悟ったかのように、あたしの手を引いて走りだした。

あたしも、木崎さんに引っ張られるみたいにして走り出した。

あたしの憧れの、彼らの街。
バイト君達から逃げるように木崎さんに手を引かれて走り出す。
木崎さんはこの街をよく知っているみたいに、細い路地に入り、ビルの脇を抜け、高架をくぐり走り続ける。

そして、ヤツらを完璧にまいたと思ったとき、あたし達は一軒の屋台街の居酒屋の前にいた。

ああ、ここが、彼らのルーツでもある屋台街なんだ。

ぜいぜいと息を切らしながらも、あたしはそんなミーハーなことを考えてたりして。

「ここに、あの人たち、いるんだ」

同じように息を切らした木崎さんが、一軒の屋台の前で言った。
あたしはからだが固くなるのを感じた。

「あたし、泣きたくないんです。泣いたら、誰の前でも、負けになるから」
あたしは必死に木崎さんに言った。
「どうして?どうしてそんなに―――」
「あたしが反抗的だから、いっぱいみんなに迷惑かけてて、すごく、周りの人を傷つけてるんです、だから、あたしが誰かに甘えるなんてできなきないんです」

嘘。
本当は会いたかった。
そして、あの温かい、優しい手で。
「がんばれ」って。
頭を撫でて欲しかった。

そうすれば、あたしはもっとがんばれる。

「どうして?よっすぃーまだ、18になったばかりじゃない。なのに、なんでそんな、そんな風に
つらい顔しなきゃいけないの?そんな風にガマンするの?」

「木崎さんみたいに、あたしみたいなみっともない人間のこと、愛してくれている人に責任がとりたいんです。それだけのことなんです」

あたしがそう言うと。
ふわり。
突然温かい腕に包まれた。

木崎さんに抱きしめられてた。

「私は、よっすぃーに何かを求めて愛してるんじゃない。ただ、好きなだけだよ。よっすぃーのことが。よっすぃーが泣いてても、怒ってても、笑ってても。だから。だから、あたし達のために苦しまないで」

木崎さんのほんの少し涙でくぐもった声が耳のそばで聞こえた。

「私が、ファンの代表ってわけじゃないけど。けど、よっすぃーが苦しかったら、やめてもいいんだよ。何か、今のよっすぃー限界みたいで、見てて、ちょっとつらい……」

あたしは木崎さんに抱きしめられたまま、小さく答えた。

「でも、あたしは歌っていたい。あたしが歌う場所はそこしかないから」

「木崎」

後ろから声をかけられて、あたしと木崎さんは弾かれたように振り返った。
そこに、少し驚いたような顔であたし達を見ていたのは―――。

あたしのヒーロー。
優しい目をして、ほんの少し疲れたみたいな顔をした、あの人。

「なんっちゃあ、女同士のラブシーンか思たら。何しよっとや」
「森山さん…っ」

木崎さんは慌ててあたしから離れて、さりげなく涙をぬぐった。
あたしはまるで凍りついたみたいに、指先1本も動かすことができないで、バカみたいにつったってた。

だって、すごく会いたくて。
でも会っちゃいけない人が。
目の前で笑ってるんだもん。

木崎さんはそんなあたしの背中を、彼の方に一歩、軽く押して、逃げるように店の中に入っていってしまった。

彼はちょっと困ったみたいに笑って、タバコをくわえて火をつけた。
あたしはどうしていいかわからなくて。

その時、彼が片手に持ってたケイタイが鳴って。

「もしもし?ああ、うん。さっき店の中やったけん。ああ、今、外。何ね?」

森やんはケイタイで話しながら、歩道のガードレールに腰をかけた。
そして目線で、あたしにも隣に座れと言った。

あたしは言われたとおりに、森やんの少し離れた隣に座った。
彼は誰かと話している。
お酒の匂いがする。

やっぱりここは南国なんだ。
東京よりも温かい風があたしと森やんの間を吹き抜けた。

心臓が破裂しそうにばくばく言ってんのに。
何だか妙に穏やかな不思議な気分だった。
こんなに穏やかな気持ちになれたのってどれくらい振りだろう。

後ろを走る車の音をBGMに、歌うときとは違う、誰かと話している森やんの低い声を聞いている。
ただそれだけなのに。
こんなに落ち着くのはどうしてなんだろう。

そして、しばらく話した後、森やんはケイタイを切った。
革ジャンのポケットにケイタイをしまう。

「森やんがケイタイ持ってるって、不思議」

するりと。
自分でも驚くぐらい自然に言葉が出てきた。

「あほう、俺やってケイタイくらいは使えようが」

笑いを含んだ優しい声。

「まさかメールとかはしないよね?」
「したらいかんがか?」
「ええっ!マジでっ!?」

「俺がそんなクソめんどくさいことするかいね」

あたしと森やんは笑った。
そしてその後、けして居心地の悪いわけじゃない沈黙。

「思ったより、元気そうっちゃね」
「えへへ」
「ステージの上から見たら、オマエすごい顔しよったけんね」

「森やん、前にあたしの年聞いて、一番しんどいときだって言った。そんときは、そんな風に思ったことなかったけど。今は結構、しんどい。でも、そんなこと思いもしなかったときの自分より、今の自分の方が好きだから。多分、大丈夫」

「そんなこと言ったか?」
「うん、言ったよ」
「オマエいくつやっけ」
「この前18になったとこ」

森やんは、何かを探すみたいに、夜空を仰いだ。
空にタバコの煙を吐き出す。

「一番しんどいときやけど、一番楽しいときでもないといかんのやぞ?」

「えっ?」
「俺は、神様がもう一度好きな年に戻しちゃるって言うたら、18歳に戻りたい。嫌なこともありようたけど、一番、がむしゃらにもなれたし、無茶もできたけん。一番楽しかった」

森やんはその頃の何かを思い出したのか、くしゃっと笑顔になった。
それから、その笑顔のままあたしを見る。

「オマエは今楽しいか?」

楽しい?
そんなこともうずっと考えたことなかった。
しんどくで、でも負けられないって。
笑うことすら忘れてたのに。
何で、この人はいつもあたしの答えられないことばかり言うんだろう。

あたしは曖昧に首を振った。

「オマエ、自分の好きな歌、歌とろうが?」
「わか…んない。歌うのは好きだけど。楽しいとか、考えたこと……」

「俺はオマエのこと何も知らんけん。オマエがいつも切羽詰った顔で、俺らのこと見とりよう、その顔しか知らんけん。やから、無責任なことしか言えん。オマエがどんな道を選ぶんかは、オマエが決めることやし」

森やんが何を言いたいのか分からなくて。
彼の顔をじっと見る。
彼はちょっと困ったような顔をして言葉を続ける。

「やけど、オマエのその顔見とったら、自分らがガムシャラやったときを思い出すけん。ほっとけやんちゅうか。余計なことでも言いたくなるっちゃ。俺らのおる場所とオマエのおる場所では、多分ルールもやり方も全然違うのもわかっとうけど」

彼はばりばりと頭をかいた。

それから、ちょっと意外なくらい。
唇の端を歪めて。
まるでいたずらっ子みたいな。
そんな目をしてあたしに言った。

「自分に、何が一番かわかっとったら、歌う場所はいくらでもあるっちゃん」

心拍数が跳ね上がった気がした。
突きつけられた気分。

あたしに必要なのは一体何?
あたしが一番大切なのは一体何?

今まで選べなかった質問を。

娘。?
それともあたし自身?

歌うこと?
それとも大きなステージで歌うこと?

あたしが本当に手に入れたいのは、本当は何?

「もっとわがままでもっと自由になれ」

森やんが言う。
腰掛けていたガードレールから立ち上がって。
あたしに向けて拳を突き出す。

彼の、ごつごつとした堅い握りこぶし。
あたしも自然に、自分の握りこぶしを彼に突き出した。

そして、彼の目を見て。
あたしが思っているより、彼が、ずっと酔っ払っていることに気がついた。
でも正直で、子供みたいに純粋な目。

「ヨシザワ!」

そして彼は大声を上げる。
ステージの上では全てを圧倒する力を持った声を出す人の大声だ。
街の喧騒や車の音に負けるわけが無い。
彼の生まれ故郷の街に、彼の声が響き渡り。
道行く人は何事かとあたし達を見る。

「ういっす!」

あたしもガードレールから立ち上がる。
娘。になって以来、人目を避けて、街中では絶対上げたことの無いような大きな声を上げた。

「闘えー!」
「おーっ!」

「負けんなー!」
「おーっ!」

「俺はやるぞー!」
「イェー!」

「ROCK 'N' ROLL!!」
「ROCK 'N' ROLL!!」

あたしはゲラゲラ笑いながら彼に応える。
ゲラゲラ笑いながら。

だばだばと涙がこぼれてた。

ずっと体の中に溜まっていた。
そう、言葉にするなら「ストレス」みたいなものが。
バカみたいな大声と、涙と一緒に体の外に流れて行くみたいな気分だった。

あたしと森やんの奇声に。
大声に。
店の中から、何事かと北里さんが顔を出した。

「何しようね!?」

歩道で、大声を上げて拳を突き上げているあたし達に、驚いた声。

「ロックたい!」
森やんが答える。
「ロックっすよ!」
あたしも答える。
「おー!ロックっちゃ!」
とりあえず答える北里さん。
ここにあたしが居ることを少しも疑問に思わないあたり、彼も負けず劣らずの酔っ払いらしい。

そして、あたし達と一緒になってこぶしを突き上げようとして、後ろから来たスタッフらしき男の人に羽交い絞めにされる。その後からも他の人が出てきて、大騒ぎしている森やんを引きずるように店の中に連れ戻そうとする。
「騒ぐのは店の中だけにしてくださいよぉー」
泣きそうな声で。
そして、泣き笑いのあたしを見て、何だこの小娘は、と不審そうな顔。

最後に、木崎さんが店の戸口から顔を出した。
「よっすぃー……」
心配そうな顔。

あたし達の大騒ぎに、野次馬が集まりだしたのを見て。

「木崎さん、ありがとう!もう大丈夫!」

あたしは、大声で叫んだ。
そして、ずるずると店の中に引きずり戻されている、酔っ払いのあたしのヒーローにも叫ぶ。

「森やん!ロックだよねっ!!」

森やんは引きずられながらもくしゃくしゃの笑顔で拳を突き上げる。

「おう!ロックたいっ!!」

そしてあたしは、これ以上騒ぎが大きくなる前に。
彼らに背を向けて、人ごみを掻き分けて全速力で走り出した。

しばらく走ってから、タクシーを止めて乗り込んだ。
ホテルの場所を告げて。

バックシートに埋もれて、はぁはぁと荒い息をついた。

彼が、どこまで本気で、どこまで酔っ払って言ったのかは分からない。
明日になったら、あたしに言ったことすら覚えていないのかもしれない。

でも。
もう大丈夫。

ううん。
現実は厳しいから。
本当は今以上にしんどくなることもわかってたけど。

でも大丈夫。

だって、知ったから。
あたしの未来は。
あたしの全ては。

あたしの、自分の手のひらの中にあるって。

それでいいんだって。
それが間違いじゃないって。

やっぱりあたしは娘。をなくすかもしれない。
歌う場所をなくすかもしれない。

多分そうだろう。
あたしは、娘。として、多分確実に破滅の道を歩いている。
でも、それすらもあたしの手の中の。
あたしだけの未来なんだ。

誰にも手出しはさせやしない。

ずっと、あたしは娘。を守るために闘っているんだと思ってた。
娘。が本当に大切で。
もちろん今も、大好きで、絶対に手放したくなんてないけど。

でも、本当は違った。
あたしが本当に大切だったのは、あたしだ。
あたしの未来だ。
あたしの歌だ。

あたしが守りたかったのはあたし自身だ。
でも、それは間違いじゃないんだ。

ロックが何かなんて、本当はよく分からない。
でもリズムやビートの話じゃない。

彼の言うロック。
あたしが答えたロック。

それに生きたいと思ったんだ。

何かわからないくせに、そのために生きたいなんて変な話だと、自分でも思う。
でもその言葉は、まるで呪文みたいにあたしの中をぐるぐる回って、あたしを揺さぶる。
そして、その言葉があたしのお守りになる。

さぁ、全てを蹴飛ばしてやる。
あたしの行く手を邪魔しようとするヤツらを。
あたしの未来を手に入れようとするヤツらを。

それが闘いなんだ。

泣いたっていい。
七転八倒してもいい。
どんなにみっともない姿を、誰に見せたって。

そんなことが負けじゃない。

負けるっていうのは。
あたしがあたしじゃない誰かのものになるということ。
あたしが選んだわけじゃない道を歩くっていうこと。

諦めるということ。

でも、あたしはこんなところでへたばったりしない。
見ててよ森やん。
何だかわからない「ロック」だけど。

あたしは手に入れてみせるから。

この中途半端な握りこぶしで。
でも、他の誰でもない、あたし自身の握りこぶしで。

さぁ、かかってきやがれ。
偏執狂のアイツも、金の亡者のヤツらも。
もう怖くなんて無い。

誰かを傷つけることも、もう恐れはしない。

誰かを傷つける痛みは、絶対忘れないけど。
それでも叫んでやるんだ。
あたしが大事なのは、あたし自身なんだって。

いつだって叫んでやる。

くそったれ!くそったれ!くそったれ!


つづく


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